No.19 : 無線局免許不要であることの証明書

2010年6月1日 up

    ある方から「免許が不要の微弱無線設備の定義はわかっているけれど、どうやって測定するの?」という質問を受けました。

    微弱無線設備というのは、出力が規定値よりも小さいため免許不要と電波法で認められている無線機器のことで、具体的には、322MHz以下の周波数では、機器から3m離れた場所での電界強度が500μV/m以下の無線機を言います。 したがって、このルールに則っている限り、免許を取得することなく電波を出すことができます。正規の微弱無線設備で実際に通信できる距離は見通しの場合で概ね数十m程度まででしょう。(100m以上飛ぶようなものはほぼ確実に電波法違反だと思って差し支えありません)

    個人的にFMトランスミッターやワイヤレスマイクで音楽や音声を飛ばす時に、電界強度測定器やスペアナを使って自分で電界強度を測定できれば、(実際に測定している人は殆んど皆無と思いますが) 堂々と胸を張って免許なしで通信できます(電波を出せます)。まあ、個人的なものは数も知れているので、当局もとやかく言うような話ではないと思いますが、問題は商品として一般に販売する場合です。

    微弱無線設備の製品を作って販売しようとしたとき、自分で売る分には、自分で測定して「これは定められたルールを守った製品だ」と主張すればとりあえず問題なく 売ることはできるでしょう。でも、これを販売店に卸して売ってもらうとなると、「ルールを守っているということを証明してください」と言われるのは目に見えていますし、直接販売の場合にも「ルールを守っている証明はあるのですか?」と問われることがありそうです。

    そこで現実的に必要になってくるのが公的機関が発行する「無線局免許不要であることの証明書」なるものです。無線局免許が必要なものは無線局免許を取得すれば 堂々と電波を出せるのですが、必要ないものについても、現実的には、免許の代わりに免許不要証明という名の一種の「免許」が必要になってきます。このような証明書は実際に(財)テレコムエンジニアリングセンターという機関が「微弱電波設備性能 証明書」として発行しています。テレコムエンジニアリングセンターという機関の主要な業務は、やはり免許が不要になる特定小電力無線機器の認証試験を行うことで、この認証業務は電波法に基づいて国から認証機関としての指定を受けています。 「微弱電波設備性能証明書」は、言わば片手間仕事として、法令に基づかない独自事業として実施されているものですが、国内で同じような証明書を出す機関がないので、実質上「微弱電波設備性能証明書」を発行する唯一の機関だと思います。

    さて、その証明書を出すための試験方法ですが、これは、昭和63年郵政省告示第127号「発射する電波が著しく微弱な無線局の電界強度の測定方法」として非常に詳細に規定されています。例えば、 「周囲に電波を反射する物体がなく、かつ、長径六メートル、短径五・二メートルのだ円の範囲内に測定の障害となる金属物体がない平たんな場所」で「木その他の絶縁材料により作られた高さ一・五メートルの回転台の上に、通常の使用に近い状態で 設置」し、「準尖頭値検波方式の電界強度測定器及び尖頭値表示が可能なスペクトラムアナライザ」で測定する、 といった具合です。

    無線局免許を取得する局だと、免許取得の際の試験(落成検査)は送信機出力のところで周波数と出力とスプリアスを測定すれば良い程度なので、むしろ、免許不要の証明のための試験の方がかえって手間がかかることになります。 免許不要局の方が免許局よりも試験の工程がずっと大がかりで難しいという現実はいかがなものでしょう?