No.2 : キーレスエントリーの鍵は電池交換しなくてもいいの?

2008年10月1日 up

    最近の自動車のキーには、ほとんどと言って良いくらい「Lock」「Unlock」のボタンがついていますね。これって、もちろん電波で自分の車と通信している訳です。 つまり、キーの樹脂部分の中にはちゃんと通信機器(送信機)が内蔵されているわけです。ということは、送信機はエネルギーなしでは電波を出せませんから、もちろん電池も入っていることになります。でも、電池交換できるようなフタが ありませんね。開けて見るにも最近はネジもありません。私の車のキーの電池がなくなったらどうするの? キーを丸ごと交換しなければならないの?そんな疑問を持ったことはないでしょうか。

    答えは簡単で、通常の場合、車自体の寿命よりもキーの電池の寿命の方が長いから電池交換する必要がないのです。毎日営業で頻繁に使っていて、日に何十回もキーの 開け閉めを続ける場合でもOKです。では、キーレスエントリーにはどんな電波が使われていて、どんな電池が使われているのでしょうか。

    キーレスエントリーに使われている電波は、電波法でいう微弱無線局というもので、一定のレベル以下の強度の電波は無線局の免許が不要となるものです。周波数は、 主として300MHzを少し上回ったあたりが使われています。特定小電力無線機器も認証された機器を使う分には免許が不要ですが、微弱無線局は機器の認証も不要です。 (といっても、ちゃんとしたメーカー製品は微弱無線局であることを証明するために特定機関の試験を受けて証明書をもらっている場合がほとんどですが、証明がなくても法律違反ではありません) 微弱という位ですから、非常に弱い出力で、322MHz以下の周波数では、電波を発する機器から3mの距離で測定して500μV/m以下の電界強度であることとなっています。 ところが、この322MHzを上回ると、途端にその許容基準が35μV/mと厳しくなってしまいます。周波数が低すぎるとアンテナのサイズが大きくなったり、周囲の雑音レベルが大きすぎたりするので、数百MHzあたりだとできるだけ高い周波数が使い勝手 が良く、微弱無線局の周波数は自然と300MHz位に集約されるようです。世界的に見ても他のシステムと干渉を避けるため、ほとんどの機器が308MHzとか315MHzといった統一された周波数を使っています。発振器の効率も非常に高いものが 製造されていて、発振時の消費電流はわずかに2mA程度です。ちなみに変調方式は大半がOOK(On-Off-Keying)で、通信可能距離は10m程度です。さらに、昨年には315MHzで微弱より大きい出力の特定小電力無線局の標準規格(ARIB STD-T93)もできましたので、もっと利用しやすくなりました。

    電池はというと、メモリのバックアップ等でも使われるコイン型リチウム1次電池(携帯電話に使われるリチウムイオン2次電池とは違う種類)で、自己放電が非常に 少なく10年程度は持ちます。電池の容量を仮に100mAhとすると、電波を出し続けると連続50時間ほど持つ計算になります。電波を発射するのはボタンを押した瞬間だけで、1回に多分、0.1秒位です。1日に100回ドアの開閉をしたとしてもトータル10秒、1年で 約1時間分ですから、単純計算で50年は持つことになります。電池交換が必要ない理由が、これでわかりました。

    このような微弱無線局や特定小電力無線局機器の大量生産と小型化で、例えば、タイヤの空気圧をホイール内のセンサーと無線で自動で読み取るようなことが既に 一部の車で実現しています。このような使い方では、回転するホイール側で細かい制御はできないので、例えば車の工場出荷時から廃車になるまで常に数分ごとにセンサーの値を送信し続ける、といった方式になります。それでも電池は埋め込み 無交換でOKです。超小型・超低消費電力の無線機器の利用で商品内蔵型で電池無交換のセンサー機器が今後爆発的に増えていくと考えられます。

    え? 一生使えるメタボセンサーを体に埋め込めないかって? 可能でしょうけど、誰が監視するのですか?