No.29 : 携帯電話は盗聴できるか?

2014年4月15日 up

    ヨーロッパ某国の首相の私的な携帯電話が別の国の機関に盗聴されていたことが暴露され、
首相が大統領に抗議したことがマスコミで話題になりました。
携帯電話事業者の協力を得て、有線系ネットワークに直接接続して盗聴することは原理的に簡単です。
そのため、警察の令状等のもとに合法的に盗聴している国は多くあります。
しかし、電波そのものを傍受して携帯電話を盗聴することは可能なのでしょうか。
今回は、技術的・原理的にでききるかどうかの話をします。
本当にそのような方法で盗聴されているかどうかは闇の中ですので悪しからず。

    一般的に携帯電話の通話チャネル
(FDMA方式の場合は周波数チャネル、TDMA方式の場合はタイムスロットの番号に相当します)は、
電話のたびに制御局がその時点で空いているチャネルを自動的に割り当てるので、
どのチャネルで通話するかはユーザにはわかりません。
したがって、変調方式や音声コーデックの方式等の技術条件がすべてわかっていたとしても、
電波での盗聴は非常に難しいといえます。
1つの携帯基地局では、常時数十チャネルの電話トラフィックを並行して扱っているので、
例えばAさんの電話だけ盗聴したいとしても、
すべての電話回線を一旦全部録音して、その声質や通話内容からAさんの通話を特定するという
気の遠くなるような作業をしないと一般的に盗聴できません。

    それでもどうしても盗聴したい場合は、大規模になりますが、制御局にある設備と同じものを用意して、
発呼から回線接続までに至る制御専用チャネルの内容をリアルタイムで解析して
Aさんの通話チャネルを割り出す、という方法なら原理的に可能です。
ただ、設備が大規模になり、スパイ映画のように街中に停めた車の中から盗聴するというのは
ちょっと無理だと思います。

    ところが、CDMA方式の場合は周波数も全国共通(各社ごとに一定)ですし、タイムスロットもありません。
通話チャネルに相当するのは、拡散コードという一種の暗号化符号です。
その拡散コードは端末ごと、すなわち電話番号ごとに決まったコードが割り当てられています。
したがって、特定の電話番号とその番号に割り当てられたコードを知っていれば、
同じ周波数に合わせたCDMA用受信機で待ち受けしていればよいのです。
Aさん以外はコード違いなので、出力には雑音が出るだけですが、
Aさんの通話があった際にはちゃんと音声が聞こえます。

    電話番号と拡散コードの組み合わせは機密事項ですが、携帯電話事業者が決めているはずなので、
原理的にはその資料さえ入手できれば盗聴は可能ということになります。
なお、今の携帯電話のほとんどはCDMA方式(3G方式)です。
2014年春現在では、LTE方式の携帯電話(スマートホン)も
電話の時はLTEでなく全て3Gに切り替わります(LTEはデータ通信時のみ)。

    最後に、皆さんは決してマネをしないようしてください。
といっても、個人レベルでマネをできる人はまずいないと思われますが ... 。