No.25 : 光の見通しと電波の見通し

2011年2月1日 up

    私の自宅兼オフィスは神奈川県相模原市の橋本駅近くにあります。
橋本から見ると南~西側には丹沢山地が広がっており、私の家はマンションの9階なので、
大山や丹沢山、最高峰の蛭が岳といった一連のきれいな山並みを一望することができます。
しかし、その丹沢の山並みが邪魔をするため、
残念ながら相模原市内のほとんどの場所では富士山を見ることができません。

    ところが、ラッキーなことに、2年ほど前に、私の家から富士山がみえることを息子が発見しました。
丹沢の山並みのちょうど峠になって低くなったところに
富士山の山頂だけがほんのわずかに顔を出しているのです。
これが非常に微妙で、100m程度離れた近くのビルからはもう見えないのです。
しかも、ほんの豆粒大だし、手前の丹沢と同じ色では見分けがつかないので、
見えるのは、富士山頂に雪があって丹沢には雪がない季節の晴れた日の朝だけです
(日中は空気中の水蒸気成分の絶対量が多くて見通しが悪くなります)。
恥ずかしながら、ここに引っ越してきてから数年間は全く気が付きませんでした。

    長々と富士山の話をしましたが、これから本題です。
光では下の写真にあるようにちゃんと富士山は見通せているのですが、
電波では富士山は見通せているのでしょうか? 答えはYesでもNoでもなく、中間です。
というのは、電波の場合は、2点間を結んだ直線の周りをぼやっと
(半波長位の距離の曖昧さを持って)広がりながら飛んでいるためです。
もう少し正確に言うと、地図上で送信点と受信点の2点を2つの焦点とし、
2点間の直線距離+半波長の長さの糸の端を送受2点に結び付けて
糸を引っ張りながらエンピツで線を引くと楕円が描けます。
その楕円の中の範囲に広がって飛んでいるというイメージです。
もちろん、実際は地図上の平面でなく、高さ方向もある3次元ですので、楕円でなく回転楕円体になります。

    この楕円(回転楕円体)が全く途中の山に引っ掛からなければ、完全見通しと言うことができますが、
ちょっとでも引っ掛かると完全見通しではありません。
楕円が完全に遮蔽されると、完全に非見通しの状態になります。
つまり、光でぎりぎり見通せている状態では、楕円の半分は隠れているので、
富士山と私の自宅との間は完全見通しでも完全非見通しでもないその中間の状態になる訳です。
光も電波も同じ電磁波なので原理は変わらないのですが、
光は波長が極端に短いので、楕円の幅(短径)がほとんどなく、
中途半端な状態の領域がほとんどないだけです。
ちなみに、楕円の半分が隠されると、約6dBの減衰があります。
つまり、受信電力は完全見通しの場合に比べて1/4になってしまいます。

    ところで、富士山と私の自宅の間を無線LANで結ぶことができると思いますか?
たとえ6dBの減衰があったとしても、計算上は送受のアンテナに双方とも
直径3m程度のパラボラアンテナを使えば何とかぎりぎり通信できそうです。
自分で実験するのは御免ですけどね。

右下の写真中央の白い部分が富士山の山頂部分