No.14 : 測定単位とコネクタ

2009年12月4日 up

    電波関係の測定単位は、電圧で表したり電力で表したり、真数表記や対数標記、50Ω系と75Ω系等様々です。
同じ電波を扱っている業界でも、放送関係、移動通信関係、衛星通信関係等で微妙に「標準語」が違い厄介です。
通常使用するコネクタ類にも(段々差が無くなってきましたが)業界による差がやはりあります。

    私は若い頃から衛星通信関係の世界に20年以上いましたので、
ほとんどの測定はN型またはSMA型コネクタに接続した測定器で、
(18GHz以上の高い周波数ではK型とかV型とか統一されていませんでしたが)
電力値をdBm単位(50Ω系)で表記するのが基本でした。アンテナ利得は絶対利得(dBi単位)でした。
その頃は、電界強度のdBμV/mとかは数値を言われても全くピンと来ませんでしたが、
(そもそも電界強度なる概念は衛星通信の教科書には書かれていなくて、
その代りに電力束密度という言葉が使われていました)
最近はdBμV/mで言われれば感覚的に電波の強い弱いが分かります。

    移動通信の世界では、装置の中の測定を除いては、dBm表示はそれほど一般的ではありません。
それは、衛星通信と違い、低い数十MHzから数百MHzへと段々周波数が上がってきた歴史に
関係があると思われます。
dBm表示では測定系のインピーダンスを決めないと数値が決定しないためですが、
低い周波数帯では50Ω系と75Ω系の両方がありましたし、テレビの平衡フィーダーは300Ωでした。
そのようにインピーダンスの統一が取れてない世界でdBm表示をするのは無理があったと思います。
それに引き換え、衛星通信では低い周波数の時代が無く、いきなりGHzオーダーだったために、
最初から同軸ケーブルの伝送損失がポリエチレン充填同軸で最も少なくなる50Ωが使われたのだと思います。
ちなみに、75Ωは空気充填同軸ケーブルでの最適インピーダンスおよび
ダイポールアンテナのマッチングインピーダンスに由来があります。
また、アンテナに関しても、相対利得(dBd)を使ったり、実効長を使ったり、
アンテナ係数を使ったりとまちまちです。
しかしながら、最近は移動通信の周波数も高くなってきたので、衛星通信との業界の差はなくなりつつあります。

    放送業界は昔から今までも75Ω系で統一されています。電界強度のdBμV/mも一般的です。
GHzオーダーの高い周波数を扱う衛星放送受信機の同軸ケーブルでも、
損失が増えるのに75Ωの同軸ケーブルとF型コネクタが使われています。
かたくなに歴史を引きずっているのでしょうね。 低い周波数の同軸ケーブルでは最もポピュラーなBNCコネクタも、
放送業界では75Ω用のものが(特殊ですが)売られています。
ちなみに、M型コネクタはアマチュア無線の人には当たり前の世界ですが、
プロの無線の世界では全く用いられません。

各種の高周波同軸コネクタ